やっぱり私たちは“B”を信じるべきだ。

PGAツアーで躍進している大型プレーヤーがいる。
クリス・ゴッターアップ、今季2勝で年間王者を狙う。
この26歳の若者の超絶パフォーマンスをPGA解説者・佐渡 充高氏と語り合う。

写真=ブリヂストンスポーツ、aflo

解説文 佐渡 充高

さどみつたか、PGAツアー解説者。USPGAツアーの全てを把握するゴルフジャーナリスト。
1991年から同ツアーの解説に携わり、現在もU-NEXT、ゴルフネットワークで解説を担当する。

PGAツアーに26歳の
ジャイアント・キラー爆誕

佐渡さんも推している大型プレーヤーが、クリス・ゴッターアップ(26)です。

佐渡 ゴッターアップの快進撃は昨年7月のスコティッシュオープンからスタート。最終日、最終組で熱狂的声援を受ける世界ランク2位のローリー・マキロイと激突。当時のマキロイはマスターズで史上6人目のキャリアグランドスラムを達成したばかりのトップであり、しかも完全アウェイの状況にもかかわらず下剋上を達成してツアー2勝目を飾ったんだ。この勝利で翌週「全英オープン」へ初出場を果たしただけでなく、単独3位となりメジャーでも脚光を浴びた。

クリス・ゴッターアップは2月のフェニックスオープンで松山英樹とのプレーオフを制して今季2勝目、ジャイアントキラーが爆誕した。

クリス・ゴッターアップ

[ 世界ランク10位(3月22日現在)]
1999年7月20日生まれ、メリーランド州イーストン出身、2022年プロ転向。好きな言葉は、“Under Promise,Over Deliver(約束は控えめに、結果はそれ以上に)”

ゴッターアップはマキロイに強いイメージがあります。

佐渡 そうだよね。今年2月TGL(屋内ハイテクリーグ)で再びマキロイと直接対決したよね。驚異の374ヤードとリーグ最長飛距離を記録するなどで、またもマキロイを撃破。翌週のフェニックス・オープンではマスターズ含め通算11勝の松山英樹とのプレーオフを制して世界ランク5位へ急浮上(3月22日現在10位)。まさに、PGAツアーに26歳のジャイアント・キラー爆誕! 現在3シーズン連続優勝、今季は2月までに2勝とロケットスタートしているんだ。今後はメジャー大会などでも要注目選手の筆頭だね。

アマチュア時代から注目されていたのですか?

佐渡 もちろん! 彼は1999年米国東部メリーランド州生まれ、パブリックアイビーと言われるラトガーズ大学からオクラホマ大学へ転校し、22年66月全米オープン出場後にプロ転向。父モーテンはNJ州ゴルフ協会主催の大会で5勝。ラクロス一家で妹アンナも海軍士官学校で記録更新する腕前。ゴッターアップ自身もラクロスで鍛え上げたボディ回転の爆発力を生かした飛距離を武器に数々のアマタイトル獲得。22年には学生最高賞のハスキンス賞とニクラス賞を同年受賞というフィル・ミケルソンやタイガー・ウッズに並ぶ快挙を達成しているんだ。23年からPGAツアーに参加し、今季フル参戦3シーズン目でキャリア4勝、まさにこれからトップ戦線を牽引する大型プレーヤーの筆頭だというのは間違いないね。

平均飛距離320ヤード超の
モンスターヒッター

ゴッターアップの強みは何ですか?

佐渡 彼の代名詞は圧倒的な飛距離に尽きる。今季の平均飛距離は326ヤードでランク5位 (3月9日現在)。そのヘッドスピードは124mph(約55・4m/s)を超え、打球の初速は300㎞前後、これは新幹線の速度に匹敵するスピードだ。破壊的な衝撃を生かすために、ロースピンタイプのドライバー(7.5度)を選び、シャフトは「Project X HZRDUS Smoke Black RDX」で鉄の棒を振り抜くような硬さ。「70TX」の強靭なフレックスがパワーをしっかり受け止めている。

まさにモンスターですね。

佐渡 忘れてはならないのがボールの存在。彼が選ぶのはジャパニーズツアーボール「TOUR B X」。今春発売された新作がうまくマッチしているようで、スタッツを見ると平均飛距離が昨季から約6ヤードもアップしている。

「B」を信じろ、ゴッターアップを躍進させるジャパニーズツアーボール。

PGAツアーでは主に海外ブランドのボールシェアが目立ちますが、彼はなぜ日本メーカーであるブリヂストンを選んだのでしょうか?

佐渡 きっかけになったのはオクラホマ大学時代のチームメイトのローガン・マカリスター。タイガー・ウッズの信奉者である彼は、ゴッターアップの規格外のパワーを見て、「タイガーの使用ボールと同じ構造で、飛距離に特化した『X』がベスト」と助言。「TOUR B X」の性能を体感(信頼)し、学生時代から愛用しているんだ。

学生時代からの愛用、まさにBを信じているのですね。

佐渡 2022年にプロ転向後、もちろん複数のメーカーからのオファーがあったが、「TOUR B X」を使用し続けた。トッププレーヤーにとってボールのパフォーマンスは生命線。信頼する感覚・飛距離・弾道再現性を手放すことはできなかった。2023年から正式にブリヂストンゴルフとのボール契約に至ったんだ。

アイアンショットも
Heavy Ball、
ロングヒッターゆえの
正確性重視策

今季2勝と躍進する選手だけに、ショットの安定性も優れている?

佐渡 もちろん、モンスターパワーと制御力を両立できるのが彼の強みでもある。高校卒業まで12年間打ち込んだラクロスの感覚がパワーと精度の原動力。「スティックの先端にあるボールを操る感覚はゴルフのヘッドを感じる感覚に近い」と話し、ボディ回転の瞬発力と強靭なリストワークが他を圧倒する「重い球(Heavy ball)」を生み出している。

アイアンショットでもHeavy ballですね。

佐渡 ボールの浮き上がりを抑え、「飛ばすこと」よりも「曲げないこと」を優先、ロングヒッターゆえの正確性重視策だ。この正確性に新作「TOUR B X」が貢献しているのも間違いない。新作は初期条件をフライトで維持し続ける高慣性モーメントボール。「厳しいコンディションでもボールコントロールできた」と彼が勝因を語るように新作の“運ぶ”性能がアドバンテージになっている。

いかにボール選びが大事であるか伺えます。

佐渡 また成績を急激に向上させたのは彼のショートゲームへの探究心もある。今季のロケットスタートを成功させたのはショートゲームの劇的向上によるもの。前年スタッツを精査すると100〜150ヤードのアプローチランクが100位以下で要改善だと判明。オフに徹底分析、研究、集中的に練習を重ね、即効で50位代まで上昇、特に75〜100ヤードはランク11位にまで上昇し、2勝という結果へとつながった。「TOUR B X」特有の“乗り感”も、正確性に貢献しているのだと推測できる。

ゴッターアップはメジャー制覇、年間王者への道を着実に歩いていますね。

佐渡 オクラホマ大学の恩師は彼を「ニクラスの体格、トレビノの自在に操る感性、ホーガン並の鋼のメンタルを兼ね備えた稀代の天才」と評したが、今、まさにこの言葉が具現化しそう。彼の躍進から目が離せない。

トッププレーヤーたちが
即スイッチする
NEW「TOUR B」

新材料+無機充填剤によって新開発されたブリヂストン史上最も剛性が高いインナーカバーが高慣性モーメントに寄与。スピンを維持することで弾道を安定させ、“運ぶ” “寄せる”といったボールコントロールに有利な感覚をプレーヤーに与えてスコアメイクに貢献する。