いかにカーボンを使うか、これがドライバーのトレンドだが、ブリヂストンの『B3』は、スーパーカーに代表される“カーボンモノコック”ボディを採用、これがドライバーの可能性を大きく広げるという。その全容に迫った。
写真/三木崇徳、有原裕晶
イラスト/マスリラ
協力/クールクラブス
直進性を追求した『SD』とドローバイアスの『DD』の2モデルがラインナップ。フェースには余計なスピンを抑制する“パワーミーリング”が施されている。ヘッド後方が下がった形状で基本的にボールが上がりやすい。
解説 / 鞍部 飛造
某メーカーでクラブ開発に携わった後、自分の理想のクラブを求めて飛び出した。本当に使ってよいクラブを熟知する。
ヘッド重量は軽いのに
大MOIを達成した
カーボンクラウン、カーボンフェース、ソールの溝にカーボン…、今やカーボンを使わないドライバーを探すほうが難しい。そんな中、ブリヂストンが新たなカーボンドライバーを登場させる。『B3』は、チタンはフェースとほかの一部品のみで、ボディはカーボンの一体構造(モノコック)。これにより多くの余剰重量を生み出すことに成功したという。新作でも悪いものは悪い、と意見することでメーカーから恐れられるゴルフギア研究所・鞍部所長はこう語る。
「通常20gも取れればよいフリーウェイトだが、ボディをフルカーボンにすることで倍の約40g確保した。これは凄い数字だ。その40gをヘッド内の違う場所に置くことで、ヘッド形状は同じでも性格が大きく違う2つのモデルを作り上げた。これは他にはない特徴だ。」
『SD(ストレートドライブ)』は超大慣性モーメント(MOI)で直進性を追求、『DD(ドロードライブ)』はドローバイアスモデルだ。「ヘッドは重いほどMOIが大きくなるが、ヘッド重量は約196・5gと軽め。さらに形状も超大MOIにありがちな扁平感がない。それなのにSDの縦横のMOIが9000g・㎠超えとは驚きだ。DDは重心アングルが35度以上と破格に大きいが、グース感はない。これも今までにないと言っていい。軽量でいい顔なのに超大MOIのSD、同じ顔でがっちりつかまるDD。くやしいが、今のところ文句の付けどころが見つからないな。」(鞍部所長)
ヘッド形状は同じでも
重心アングルは違う
2タイプともにつかまりの良いヘッドだが、DDは重心アングルが35度超えと既存のドライバーのなかでも最大級。これをオーソドックスなヘッド形状で達成している。
ブリヂストンはカーボンの
優位性にいち早く気づいていた
ブリヂストンはカーボンの
優位性にいち早く気づいていた
実はカーボンへの取り組みはブリヂストンに一日の長がある。03年にカーボンボディの『シナジー』を発表。当時同モデルの“DEEP”を使った倉本昌弘が20ヤード近く飛距離を伸ばすなど話題となった。
このヘッド性能なら
女子プロも使いそう
では『B3』の実力はどうか。試打を担当した平野さんは、その初速性能の高さに驚きを隠さない。
「軽量モデルなので少し抑えて打ちましたが、そのヘッド速度からはイメージできない初速感です。カーボンボディらしからぬ澄んだ打球音も弾きの良さを演出しますね。そのうえ多少芯を外してもミート率が高い。ヘッドそのものの出来がかなりいいんだと思います。」
2タイプの違いはどうか。
「どちらも高弾道がやさしく打ててつかまりがいいですが、『SD』は直進性の高さが際立ちます。思いのほかスピン量も少ないから飛距離も稼げますね。『DD』は強烈につかまる! スライスで飛距離をロスしている人は、ぜひ打ってほしいです。個人的には、シャフトをカスタマイズして使ってみたい。結構飛ばせるはずです。今後『B3』を使う女子プロも増えるんじゃないかなと思いますよ。」
試打 / 平野 義裕
東京「スイング碑文谷」内、「クールクラブス」のカリスマフィッター。あらゆるヘッドとシャフトの性能を熟知している。
やさしいヘッドだけど
初速がしっかり出る
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「DDで試しに強いカット軌道で打ってみたけど、軽いフェードで収まる。フックフェースでもないので構えやすい点も魅力。」(平野)
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「多少芯を外しても初速が落ちにくい。反発エリアを広げるテクノロジーの効果を感じる。」(平野)
DDはスライサーでも
強い球が打てる
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ストレートからややドローのボールに。ヘッド速度が遅めでも高弾道が打てる。
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高弾道のドローボールが打ちやすい。スピンも抑えられるので飛距離が伸びる。
[計測データ]
※データはナイスショット5球の平均