アルタスPRO 318
概要
構造
- 2ピース
発売
- 1984年
メーカー希望小売価格
-
700円
※発売当時の価格です
商品特徴
「アルタスPRO 318」を発売。世界初の二重ディンプルによる318個のディンプルを採用し、新開発「SAAコア」を採用した2ピースボール。優れたキヤリー、ソフトなフィーリングを実現。
BRIDGESTONE
GOLF BALL LIBRARY
- COLUMN -
1982年、国産初の2ピースボール『ALTUS』は、当時の糸巻きボールをはるかにしのぐ飛びと耐久性によってアマチュアゴルファーのあいだにブームを巻き起こした。
82年度日経年間優秀製品賞を受賞したことなども追い風となってブームがますます拡大すると、当然他のメーカーも開発に乗り出した。しかしその頃、先駆者としてのブリヂストンは1歩も1歩も先へ進み、1984年には早くも、2ピース構造に合わせたディンプル設計を持ったボールを完成させた。『ALTUS PRO318』だ。
2ピース構造になると、糸巻きに比べるとスピン量が減ったり、あるいは打ち出し角度が高くなったりというように、初期条件が大きく変わってくる。当然、それに応じたディンプル設計があるはずだが、当時はまだ糸巻きボールでしかディンプルの最適化は行われていなかった。2ピースでこれを導入し、ディンプルを構造にフィットさせる技術を初めて確立したのが、この『ALTUS PRO318』である。
また、「318」とネーミングにも用いられたことからもわかるように、ディンプル数が極端に少なかったのも大きな特長だった。
ただし、コンピュータが出した答えだからといって、それを形にするのは容易なことではない。たとえば2重ディンプルにしても、当時はカバーの塗装技術が未熟だったため、従来の塗装方法ではディンプルの底に塗料がたまってしまうといった失敗もあった。これでは2重ディンプルの意味がなくなってしまう。このような、単純でいてしかも性能には大きな影響をもたらす新たな問題をひとつひとつクリアにしていって初めて完成したのが、2重ディンプルの「2ピースを超えた2ピース」だった。
数といい形状といい独創的なディンプル設計を持つ2ピースボールの登場がきっかけとなって、ボール業界ではやがてディンプル戦争が勃発するのだが、ネーミングに「PRO」とついていた点でも注目を集めた。
ディンプルの最適化などによって2ピースのデメリットを解決しつつあったとはいえ、プロに関しては当時まだまだ糸巻き一辺倒の時代だった。にもかかわらず「PRO」とうたったのは、「プロにも使ってほしい」という開発スタッフたちの願いも込められていた。それだけ自信を持っていたということだろう。
実際このボールは、ブリヂストンのボールとしてはプロがトーナメントで使った2ピースの第1号となった。使ったのは名を知られたトッププロではなかったし、どちらかといえば飛ばないプロだった。しかし84年のあるトーナメント最終日、最終組でジャンボ尾崎と回り、優勝こそ逃したが、当時圧倒的な飛距離を誇っていたジャンボに肩を並べて話題になった。本人も「これは俺だけに使わせてくれないか」といってきたほどだった。
ブリヂストンのスタッフが、「もしかしたらプロも2ピースを使うようになるかな」と感触を得たのは、このときが初めてだった。国産の2ピースが誕生して約2年。2ピースは弾道が低く、ランが出るというのがもっぱらの評判だった。だが『ALTUS PRO318』はこうしたイメージを大きく変え、弾道が高くなった分、止まりやすくなった。事実、「上がりすぎる」という声もあったほどで、その後、低めの弾道の「LD」も発売されたほどだ。こうした状況を見ても、『ALTUS PRO318』が2ピースのデメリットを解決し、ゴルファーの先入観を捨てさせるきっかけになったのは明らかである。