アルタスPRO 500

アルタスPRO 500
アルタスPRO 500
アルタスPRO 500

概要

構造

2ピース(超薄強化カバー)

発売

1986年

メーカー希望小売価格

700円

※発売当時の価格です

商品特徴

世界最多である500のディンプルをもつ、「アルタスPRO 500」ラージ発売。超薄ポリエステルブレンドカバーの採用で糸巻きフィーリングに近づけた2ピース。(ソリッド型の分野で他の追随を許さないシェアを獲得)

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BRIDGESTONE
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アルタスPRO 500

『ALTUS PRO318』の誕生がきっかけとなって始まったディンプル戦争に終止符を打ったのが、1986年に発売された『ALTUS PRO500』である。その名の通り、500個のディンプルを持つ2ピースボールで、当時世界最多。大きな話題になった。
もちろん、単にディンプルの多さだけで話題になったわけではない。500個に合わせて材料、構造も最適化が図られていたし、ディンプルの配列も、正8面体が主流の時代にあって正20面体を初めて採用。これによって空力的なパフォーマンスが大幅にアップし、大径化した結果反発性能が高まったコアと相まって大きな飛距離を生んだ。

このボールのキャッチフレーズは「アメリカンキャリー」。日本では当時、ダウンブローに打つのが主流だったが、アメリカではどちらかといえばボールを払うように打ち、高い弾道で大きなキャリーを出す打ち方が主流になりつつあった。この弾道イメージとピタリ合致し、ビッグキャリーを生むというのがこのボールの最大の特長だった。

この頃になると、ボールの開発においても弾道や材料などの基礎研究の重要性が認識されるようになり、コンピュータの役割がますます大きくなった。ただし、今から20年以上も前だけに、その費用は膨大なものになった。たとえば弾道計算などでスーパーコンピュータを使うと、1秒当たり数十万ものコストがかかった。それを惜しげもなくなく使ったことが、後にブリヂストンのソリッドボールがナンバー1になる要因のひとつともなった。
『ALTUS PRO500』は、ブリヂストンのボール史上において販売数量的に2ピースが糸巻きを上回る時代の牽引者になったという点でも重要なボールだ。もちろん、男子プロたちはまだ糸巻きが主流だったが、この時代になると女子ツアーでは急速に2ピースが広まり、アマチュアと合わせると、糸巻きとの立場が逆転した。
このボールが女子プロのあいだに急速に浸透していったのは、飛距離に加えてソフトフィーリング化を実現したのが大きかった。『ALTUS PRO318』でかなり改善されていたとはいえ、糸巻きに比べればはるかに硬く、冬場などは手がしびれて使えないといった声もあった。

そのため、フィーリングの改善は2ピースの最大の課題だったのだが、『ALTUS PRO500』では主にカバーを薄くすることで飛躍的なソフトフィーリングを達成した。加えて、カバーを薄くすればそれだけコアを大きくできるので反発力が高くなり、ボール初速がアップする。このことは現在では当たり前だが、当時としては素材的にも製造技術的にもさまざまな障害があり、決して容易なことではなかったのである。
ただ、それでも男子プロの多くを満足させられるレベルにまでは達していなかった。ツアープロの世界では、「2ピースは硬いしスピンもかからない。飛ばしたいアマチュア用」という認識が支配的で、プロたちは糸巻きの『REXTAR TML』などを使っていた。

こうした先入観を変えるには、90年代に入ってからの『Reygrande WF』まで待たなければならないが、ソフトフィーリング化の過程にあって『ALTUS PRO500』が果たした役割はやはり小さくはなかった。