アルタスニューイング

アルタスニューイング
アルタスニューイング
アルタスニューイング

概要

構造

ソフト2重カバー(多層)構造3ピース

発売

1994年

メーカー希望小売価格

700円

※発売当時の価格です

商品特徴

コアをより柔らかくし、第一カバーと第二カバーを組み合わせる「新概念二重カバー構造」で糸巻きバラタ同様の超ソフト打感を実現。また温度等環境に左右されない飛びを確保。「アルタスニューイング」は、発売以来多くのゴルフ愛好家から絶大な支持を得て’97年度ベストセラーのボールとなる。

コラムを開く
閉じる

BRIDGESTONE
GOLF BALL LIBRARY
- COLUMN -

アルタスニューイング

1992年に『Reygrande EXE』が開発されると、シニアプロや女子プロが使うようになる。そして1993年の『Reygrande WF』では男子プロが次々と糸巻きから転向。前者はソフトタイプ2ピース、後者はスピンタイプ2ピースと呼ばれたように、同じ2ピースでもさまざまなタイプが誕生し、2ピースボールはいよいよ第2世代を迎えた。
そこへ1994年新たに『Newing』が出現した。「新概念二重カバー」という文字どおりまったく新しい構造を持ったボールで、コアと合わせると3ピース構造だった。こうなると、従来の糸巻きに対して2ピースという分け方では分類できない。そのため、ソリッドボールという呼び方が生まれたのもこの頃である。
2ピースが徐々に進化を遂げて第2世代を迎えたとはいえ、糸巻きに比べれば、打感はまだまだ硬かった。だが、飛びからいえば2ピースに大きなアドバンテージがある。そこで、飛びはそのままにフィーリングをソフトにする。このことが依然として大きな課題だった。

これを解決するために生まれたのが、新概念二重カバーという発想である。コアをソフトにすれば打感はソフトになる。だがそれとともにインパクト時の変形量が増し、パワーロスが多くなり、2ピースの最大のメリットである飛びが損なわれてしまう。コアとカバーという2ピース構造のなかで飛びもソフトフィーリングも実現しようというのは限界がある。その間に何か違うものを入れたらどうだろう。こうして生まれたのが新概念二重カバーを持った3ピース構造だった。二重コアを持った3ピースはすでにあったが、二重カバーの3ピースボールは初めてだった。

コアとカバーの中間に弾力性と復元力に優れた第2カバーを設けると、変形によるパワーロスを防げる。コアをそれまで以上に柔らかくした。その結果、飛距離を落とすことなく、ソフトなフィーリングを持たせることができた。
もちろん、これまでになかった発想だけに容易にかたちにできたわけではない。二重カバーといっても単純に樹脂を重ねれば反発が落ちてしまう。これを解決するために、さまざまな材料と厚みの組み合わせをテストした。その間1年半を要している。

最終的に採用されたエラストマーは、小さい衝撃力でコアとともに変形し、逆に大きな衝撃力の領域ではコアに比べて変形が小さく、コアの変形を制御する特性を持つ。言ってみれば、理想的弾性と理想的変形量を記憶したボールなので、ヘッドスピードに応じて理想的に変形するため、ヘッドスピードに関係なくだれでも大きな飛びが得られる。倉本昌弘が使って話題になったけれど、プロにもアベレージゴルファーにも対応できる最初のソリッドボールだ。

『Newing』は人気という点では間違いなく東の横綱だ。しかも、長い間綱を張り続けたという点でも、ゴルフボール史上傑出している。ゴルフ用品専門誌『ゴルフ用品界』の定店観測レポートでは店頭売り上げで94年3月から98年8月まで54カ月連続ナンバー1というとてつもない記録を打ち立てた。「『週刊ダイヤモンド』の読者が選ぶ使ってよかったボール」のアンケートでも、94年から99年まで6年連続でナンバー1になった。
95年前後には、月に10万ダース以上も売れたことがある。ひとつのブランドで3万ダースならヒット商品といわれたくらいだから、『Newing』がいかに化け物だったかがわかる。

あまりの人気にダブルナンバーが生まれたのもこのボールが初めてだった。このように、数々の記録を塗り変え、多くのエピソードを生み、また『super NEWING』や『COLOFUL Newing』などの子や孫を次々と産み、現在でも人気を保ち続けているのもひとえに、飛びとソフトフィーリングを両立した画期的なソリッドボールであるからに他ならない。