レイグランデ2x2
概要
構造
- 糸巻き2重カバー
発売
- 1996年
メーカー希望小売価格
-
700円
※発売当時の価格です
商品特徴
世界初の二重カバー糸巻き(四重)構造の採用により、糸巻きバラタをはるかにしのぐ飛距離性能を実現。’94年上市とともに‘マスターズ’を制覇した新世代糸巻きボール。
BRIDGESTONE
GOLF BALL LIBRARY
- COLUMN -
1994年の国内ツアーの成績を見ると、男女とも賞金王はブリヂストンのソリッドボールを使ったプロだった。しかも男子では賞金ランキング1位から6位までを独占。優勝数で見ると、37戦中ブリヂストンのソリッドボールが14連勝を含む22勝を挙げている。勝率にすると59%にも達する。
その前々年が28%、前年が42%、そしてこの年半数を超えたわけで、この頃完全にソリッドボールの時代を迎えたことがわかる。その牽引者となったのが、ツアーでは『Reygrande WF』、アマチュアでは『Newing』で、この数字を見てもブリヂストンのボールがナンバー1の座に就いたことは明らかだ。
しかし、少数派になったとはいえ、この当時まだ糸巻き派がいたのは事実だ。「『Reygrande WF』は打感が糸巻きとは違う」、「糸巻きほど止まらない」という声が一部のプロの間にはあった。
実際、『Reygrande WF』はスピンでは糸巻き並みになったが、打感では糸巻きに比べればやや硬めだった。また『Newing』も、打感はソフトになったがスピンでは糸巻きに及ばなかった。そのため、「スピンのかかるボールを自分でコントロールするのが技術」というニック・ファルドをはじめ、一部のプロたちは依然として糸巻きバラタカバーのボールに強いこだわりを持っていた。
こうしたプロの要求を満たしながら、飛びでは従来の糸巻きをはるかにしのぐボールとして開発されたのが、『Reygrande 2x2』だった。カバー、コアともそれぞれが二重の世界初二重カバー糸巻き構造である。センターのコアの外側に糸巻層のコアがあり、そして2層のカバーがついている。
この独自の構造によって、糸巻き特有のスピン性能と打感を維持しながらソリッドボールの飛びを生むというボールで、ニック・ファルドはこのボールで94年のマスターズを制した。また93年に日本の賞金王になった飯合肇もこのボールがお気に入りだった。『Reygrande 2x2』は、当時ブリヂストンが持っていた糸巻きボールのすべての技術と最新のソリッドボール技術とが融合して完成したボールだった。だがそれでも、糸巻きボールの性能向上はほぼ限界に達していた。とりわけ糸巻きは、ヘッドスピードでいえば60m/s近くにも達する超ハードヒッターなら初速が上がるが、現実にはそこまでいかないゴルファーが大多数で、それにはやはりソリッドボールに優位性がある。
ブリヂストンの開発陣はこうした限界を早くから見抜き、『Reygrande 2x2』は「糸巻きの最終形」と位置づけていた。事実、ブリヂストンのボールではこれが最後の糸巻きとなった。以後はすべてソリッドボールである。他のボールメーカーはその後も糸巻きを引っ張り続けるが、ブリヂストンのソリッドボールがツアーで勝利を積み重ねていくとともに糸巻きはやがてフェイドアウトしていった。
プロがチタンヘッドのドライバーやキャビティバックのアイアンを使い始めたのもちょうどこの頃である。加えてボールも、糸巻きからソリッドボールへ。その意味では、糸巻きの最終形『Reygrande 2x2』は用具が大きく変わっていく時代を象徴するボールでもあった。